ある夏の日

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太陽の日差しが痛いぐらいの真夏日。 風もほぼ無風で、気候としては最悪の日だった。 通学路には同じように学校に登校している人が数人。 誰もが暑さを凌ごうと、手をぱたぱたさせたり、日陰を見つけてはそこへ行こうとしていた。 「お前、こんな暑いのによくそんなに平然としてられるよな……」 隣で一緒に歩いていた友達の桜木に話しかけられる。 実質僕は中学の時に沖縄から東京へ引越してきてるので、暑さには多少なりとも耐性はあった。 それでも今日の暑さは普通じゃない。 僕はあまり感情を表に出さないタイプなので、彼にはわからないかもしれないが、これでも結構辛いのだ。 「桜木、何か団扇とか持ってない?」 「おっ、やっぱりお前も暑いんだな。そりゃまあいくら沖縄育ちだからといって、この暑さはきついよな……」 そう言いながら桜木はバッグから団扇を取り出してくれた。とても小さい団扇を。 「……何でこんなに小さいんだ。生ぬるい空気が当たるだけになるじゃん」 「まあまあ、無いよりはマシだろ」 渋々受け取り、2人してぱたぱたと小さめの団扇を扇ぐ。 思った通り、涼しさなんてあまり感じられなかった。 むしろ扇ぐ分に使う力が、逆に暑さを掻きたてているような気がした。 でも、何となく気持ち的にも扇いでいた方が涼しく感じられたので、そのまま通学路を歩き、僕達は学校を目指す。
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