ある夏の日

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校門もいつも通り、通学する生徒たちで賑わっていた。 暑さのせいか、取りあえず肌を露出させようと、少し如何わしい格好の生徒も見受けられたが、それはそれで夏の風物詩として楽しみながら僕たちは校舎へと進んだ。 校舎の中も想像通りと言ったところだろうか。 恐ろしいほどむわっとした熱気が校舎内を包んでいた。 「……桜木、もしこの学校に冷房がなかったらどうなってたと思う?」 「……想像したくもない」 桜木は嫌悪感漂う表情を浮かべながら相槌を打つ。 僕のクラスは校舎2階の突き当りにあり、桜木も同じクラスだ。 桜木とは僕が転校してきた時からの親友で、誰も顔見知りがいなくて右往左往していた僕に対して凄く優しくしてくれた。 何らかの強い縁があるのか、今までもずっとクラスは一緒で、僕としてはとても頼もしい人物でもある。
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