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DEMOSの鋭い牙は、無防備だったリベラルを捕らえる事は出来なかった。間一髪、鎌を引き抜き攻撃を防いだのだ。
「で、出来た…」
先程までの重圧はなく、自然とリベラルの身体に馴染んで来るようだった。頭の中で木霊するリックの声もまた、驚きを隠せない。
『…今まで誰とも合わなかったのに…。まあ、結果オーライか』
ギリリと、尚も噛みつこうとしているDEMOSに真一文字に鎌を薙ぎ払う。ザシュ、と肉を切り裂く嫌な音がした。
「グアア…ッ!!」
痛みにDEMOSが身悶える。リベラルは一旦距離を取り、柄を強く握りしめた。目を閉じ、意識を集中させる。
初めてリンクした筈なのに、とても身体が軽い。通常ならオーガニクスと意識を合わせ、リンク出来たとしてもこのように馴染む事はないと言うのに。リベラルは自然と頭に浮かんで来る言葉を呟き出した。
「風よ、我が前に具現化し、刃となれ…」
窓も隙間さえもないこの空間に、風の鳴る音がした。風は、鎧のようにリベラルを纏い、また鎌に集まっている。
「行きます!真空波!」
横に鎌を薙ぎ払うと、具現化した風が刃となって身悶えているDEMOSを襲う。耳を劈くような絶叫が響き、DEMOSは倒れた。
『や、やった…のか?』
「ええ、もう…大丈夫でしょう…」
安心感からなのか、急に疲労が押し寄せてきた。リベラルはガクッと膝をついて、荒々しく肩で息を整える。更に激しい眠気も襲いかかってきた。
「……っ、反動が…!リックさん、大丈夫です…か…」
リックが何かを言っているようだが、耳に入って来なかった。目の前で絶命し、ピクリとも動かないDEMOSを見た後、リベラルの意識は其処で途絶えた。
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