4人が本棚に入れています
本棚に追加
床に刺さっている大鎌。リベラルはそっと手を伸ばし、鎌の柄を握って鎌を引き抜いた。
普通にリンクが出来ている。現に起きている事ながら、何とも実感が湧かないでいた。
「…嘘…。だって、リベラル君今まで誰とも…」
その光景を目にしたルミナとエリスは驚きを隠せない。驚いている二人を他所に、リックは元の姿へと戻った。
「な?俺も今まで誰ともリンク出来た事はなかった。けど…リベラルとは出来た。理屈はわかんねーけど、偶然じゃない事は確かだぜ」
「…そうみたいね。リベラル君、それとアンタ、えーと…」
「ワーカホリック」
「じゃ、ワーカホリック。とりあえず一緒に来てくれる?仕事の事もだけど…もうアンタはただの一般人じゃない。リベラル君はアンタ以外とはリンク出来ないみたいだしね」
少々予想外だったのか、リックは戸惑いを隠せないでいた。そのまま視線をリベラルに向けると、彼もまた、困ったように笑ってみせた。
「…今回の件は事務所に報告しなければなりません。リックさん、不都合がなければ同行していただけませんか?」
「…わかった。特に身寄りもいねーし、不都合はないしな」
「ありがとうございます、ではもう少し落ちついてから本部に…」
そう言いかけたリベラルは思い出したかのように大きな溜息をついた。ルミナとエリスが顔を見合せて首を傾げる。
「リベラルさん、どうかされましたか?」
「いえ…。実は僕、お財布を盗まれてしまいまして…文無しの上に帰りの切符がないんです…」
「もう、相変わらずなんだから。大丈夫、あたしが立て替えてあげる。ワーカホリックの怪我が落ち着いたら出発しましょ」
すみません、と心底申し訳なさそうに頭を下げた。
かくして、リックの怪我が落ち着いた一週間後。リベラルとリック、ルミナとエリスの四人は事務所本部へと向かったのであった。
この先に、多くの苦難や試練が待ち受けていることを彼等は知る由もなかったーー。
最初のコメントを投稿しよう!