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ルミナがうーん、と背伸びをし退屈そうにリベラルが座っている長椅子の手すりにもたれかかった。
「ル・ヴェルの街までまだまだかかるし、あたしは少し仮眠しよっかなー。ぼんやりしてるのも退屈だし」
「お疲れでしょうし、そうして下さい。僕は調査報告書を書かなくてはいけませんし、街についたら起こしますから、その間ゆっくり休んでいて下さい」
ルミナがそうするわー、と眠そうに小さく欠伸をし自分の席へと戻ろうとした瞬間。けたたましい電子音が鳴り響いた。ルミナのジャケットのポケットと、リベラルのトランクの中からだった。
瞬時にポケットからクオッドスキャナーを取り出し、音を止めて画面を確認する。エリスもトレイを持ったまま、慌ててルミナの元へと駆け寄った。
「DEMOS確認…!?嘘でしょ、こんな場所で…」
「今迄察知していなかったのにどうしてなんでしょう…?」
リベラルもトランクからスキャナーを取り出し、画面を確認する。
「コンピュータ、ランクと位置、それとこの汽車の構造を教えて下さい」
『…検索中…暫くお待ち下さい。はぐれDEMOS、ランクはD。タイプは不明です。…周辺情報を収集中…。サーチ完了、立体映像を表示致します』
スキャナーから汽車の立体映像が映し出された。リベラル達の乗車している汽車は、民間人も利用する汽車で全部で八両編成。位置情報によると、DEMOSは最後尾の車両の上にいるようだ。
「はぐれDEMOSですか…厄介ですね。多分、臭いにつられて汽車に取り付いたかと思われます」
「もう、折角休もうとしたのに!さいっあく!」
ルミナはスキャナーでDEMOSの位置を確認するとエリスへ目配せした。エリスは無言で頷く。
「リベラル君は、民間人保護最優先。随時ターゲットの位置確認は忘れないで。後、本部に連絡しておく事。相手はあたし達がするから、よろしく」
一気にそう捲し立てると、窓を開け、辺りを見渡した。
「お、おい!お前らだけで行くのかよ?あんな化け物相手に女だけで勝てる訳ないだろーが」
上に登ろうと、窓辺に足をかけていたルミナに、リックが慌てて静止する。やや不満そうにルミナが振り返った。
「はあ?あたしを誰だと思ってんのよ。Dランクの奴位、サクッと相手してあげるわよ。民間人は大人しくしときなさい」
そう言うと、ルミナは器用に汽車の上へと登って行った。エリスもそれに続く。綺麗な長い髪が風でもて遊ばれていた。
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