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「民間の方々を守るのは、私達の仕事と義務ですから。此方は大丈夫です。リベラルさん、乗客の方々への配慮、お願い致しますね。では、いってきます」
にこりと微笑むと、器用に登って行ったルミナとは正反対に、エリスは危なっかしげに何とか汽車の上へと登って行く。
時折足を踏み外し、小さく悲鳴をあげながらも何とか上に登れたようだ。
「…大丈夫なのかよ、あれ」
「エリスさんは、おっとりした方ですから。でも、ルミナさんもエリスさんも調査員ではなく、正規の執行官です。実力は確かですよ」
「ふーん…。あいつらが、ねぇ」
ルミナ達が登っていった窓辺を見つめ、リックは先程まで座っていた椅子へ座って、またぼんやりと外の風景へと視線を移す。
「僕は、位置情報を確認と本部へ連絡します。後、車掌さんへ事情を説明しに行って来ますので、リックさんはそこで待ってて下さいね」
「はいはい。民間人だし、大人しくしてるって」
リベラルは慌ただしく、端末を片手に車掌室がある一両目へと走っていった。リックはリベラルの後ろ姿が見えなくなると、溜息をついて立ち上がった。ルミナ達がDEMOSを追跡する為に開けっ放しになっている窓へ近付き、ひょこっと顔を出し、上を見上げた。
「…DEMOS、ねぇ…」
ポツリと呟き、髪をなびかせながら上を見上げていた。
「よっ、と!んー、やっぱり任務にヒールで行くの止めようかなー。お気に入りなんだけど」
汽車の上へ上がったルミナとエリスは風に煽られながらもスキャナーの位置情報を頼りにDEMOSを追跡していた。
足場が悪い汽車の上をヒールの高いお気に入りの赤い靴で足軽に進むルミナ。一方、歩くのがやっとなエリス。
「ル、ルミナさん、待って下さい~…」
「もう、相変わらずなんだから。ターゲットが出て来るかもしれないし、武器に転換しなさいよ。危なっかしくてみてらんないわ」
申し訳なさそうに俯くと、エリスの身体はふっと消えた。代わりに、ルミナの両手には短剣が握られている。
「位置情報によるとこの辺の筈。データではただの雑魚だけど、油断は大敵ね。エリス、頑張りましょ」
『はい!』
エリスの声が木霊する。ルミナは短剣を強く握り、辺りを見回した。ターゲットらしき姿は見えない。
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