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『ルミナさん、前方、ターゲットの気配確認しました、注意して下さい!』
エリスの声に即座に反応し、前方を見やると這い蹲り、ニタニタと卑しい笑みを浮かべたDEMOSがいた。
ルミナは短剣を構え、軽く地面を蹴ってDEMOSへと斬りかかる。瞬時にDEMOSはニヤつきながら高く跳躍してルミナの攻撃をよけた。
「跳躍に特化してるタイプかしら…。ま、いいわ。短剣だからって近距離専門って訳でもないし」
そう言うと、太腿に巻かれてるショルダーを手早く開け、小さな短剣をDEMOSの膝目掛けて投げた。狙い通り、短剣はDEMOSの膝に刺さり、小さく悲鳴をあげる。怯んだ相手に、すかさず畳み掛けるようにして懐へ潜り込む。DEMOSは苦渋な表情を浮かべながらも、再度高く跳躍してルミナと距離を取った。
「もう、ちょこまかと鬱陶しいわねっ」
軽く悪態をついて、ルミナは前に短剣を構え、意識を集中し始めた。
「とりあえず、動き封じて一気に片付けるわよ!」
『はいっ!』
光を纏った小さなナイフを三本、具現化させ、空に放り投げた。DEMOSの足元に三角形を描く形でナイフが刺さり、光がDEMOSを拘束する。
「…バイバイ」
にっこりと微笑み、地面を蹴ってDEMOSを真一文字に斬り捨てる。青い鮮血が空を舞う。
すると、真っ二つになったDEMOSの胴体が不可思議な動きを始めた。
『な、なんでしょうか…』
エリスの怯えた声が木霊する。ルミナも目の前の異常な光景に息を飲んだ。
「確実に手応えはあったのに…何?コンピュータ、相手のタイプの分析急いで!」
『…分析中…。照合結果、特殊型と類似点多数。武器属性の相性不利』
DEMOSはケラケラ笑い、斬り口から二匹に分裂した。
「気持ち悪っ!斬撃は効かないって事ね、確かに厄介だわ…」
分裂したDEMOSの一匹が高らかに笑いながら空高く跳躍し、他の車両へと移った。
「ちょ、逃がすもんですか!」
追いかけようとしたルミナに、分裂したもう一匹がルミナの足首を掴む。
「…っ!しまった…!」
DEMOSはルミナの足首を強く掴んだまま、ルミナの身体を思い切り車両へと叩きつけた。
「……っう…!」
『ルミナさん!』
「…大丈夫。それより、こいつに集中して、早くもう一匹を追わないと。アイツ一般車両の方に向かったから、早くしないと不味いわよ」
何とか立ち上がり、きりっと眉を上げ、再び短剣を構えた。
「…即刻で片付けるからね」
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