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《「ひっ……助け……」》
《『助ける?』》
目の前にいる標的は死にたくないから醜く命乞いをしてくる。
こんな光景ももう見慣れてしまったものだ。
《『その言葉は何千と聞いてきたから……もう飽きたよ』》
私は標的に刀を突きつける。「ひっ」と肩を揺らすソレ。
《『ざーんねん。あなたの人生終わりだね』》
そういった瞬間、顔に生暖かいものがかかった。
****
「紅桜……これはさすがにやりすぎでしょう」
そう言ってきたのはオッドアイの彼、六道骸。
『骸もたいがいじゃない?』
「そんなことはありませんよ。彼らが弱かっただけです」
悪びれることもなく、いつもの独特な笑い方で辺りを見回した。
『……その言葉、そっくりそのままお返しするわ』
まぁ、骸の場合は相手が弱いのもあるだろうけど、骸自身が強すぎるんだよね。
「くふふ……任務も終わりましたし、戻りましょうか」
確かに、長居は無用だ。
私は静かに頷いた。
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