標的1.風の守護者

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《「ひっ……助け……」》 《『助ける?』》 目の前にいる標的は死にたくないから醜く命乞いをしてくる。 こんな光景ももう見慣れてしまったものだ。 《『その言葉は何千と聞いてきたから……もう飽きたよ』》 私は標的に刀を突きつける。「ひっ」と肩を揺らすソレ。 《『ざーんねん。あなたの人生終わりだね』》 そういった瞬間、顔に生暖かいものがかかった。 **** 「紅桜……これはさすがにやりすぎでしょう」 そう言ってきたのはオッドアイの彼、六道骸。 『骸もたいがいじゃない?』 「そんなことはありませんよ。彼らが弱かっただけです」 悪びれることもなく、いつもの独特な笑い方で辺りを見回した。 『……その言葉、そっくりそのままお返しするわ』 まぁ、骸の場合は相手が弱いのもあるだろうけど、骸自身が強すぎるんだよね。 「くふふ……任務も終わりましたし、戻りましょうか」 確かに、長居は無用だ。 私は静かに頷いた。
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