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麻耶「やっぱり♪、ちょっと待ってて。」
麻耶は連れの友達に待つように言うとオレの元に近寄ってくる。
麻耶を見たのは成人式以来で、時折電話などで連絡は取り合っていたが面と向かって会うのは久しぶりだった。
隼也「久しぶり。」
麻耶「ホントに久しぶりだね?」
笑みを浮かべながら優しくオレに話し掛けるこの感じが懐かしい。
学生の頃なら久々の対面にバカみたいに騒いで喜んでたけど、大人っぽくなっている麻耶に対抗して格好つけてる自分が恥ずかしい。
麻耶「2年ぶりだよね?」
隼也「高卒で家出て最後に会ったのは成人式だからな。」
麻耶「隼人兄ちゃんに似てきたんじゃない?(笑)」
オレの顔を覗き込みながら喋る麻耶にやはり懐かしく感じる。
隼也「んなことないよ。顔つきも頭脳も才能も、オレは兄貴には到底敵わない。」
昔から出来のいい兄貴とオレは比べられていた。どんな事も器用にこなす兄貴とは対照的にオレには得意不得意の差が激しい。
だから自分のデメリットが更に浮き彫りになる。それが嫌で、オレの反抗期は全て兄貴に向けられていた。
でも、麻耶はオレと兄貴を比べる訳じゃなく1人の人として見てくれていた。
それが当時のオレにはスゴく救いになっていたんだ。
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