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私は軽すぎる竹刀を沖田の前で大きく降り下ろそうとした。
面越しでよく見えないが、余裕綽々の顔で私を見下ろしている。
沖田は当然のように横に構えて防御の姿勢を取ろうとする。
…それが命取りですよ、馬鹿沖田。
私は手首をちょっと捻り、竹刀を垂直に打ち落とした。
…うん、心地がいい面の音がする。
どうだ、思い知ったか沖田め!!
「うそだろ…!?」
「僕が…、負けた!?」
…いや、土方さんは沖田さんの腕信じすぎだし、沖田さんは自信ありすぎじゃないですか。
なんか、勝ったのにいけないことをした気分……。
人知れず背中に嫌な冷や汗が流れ落ちる。
「おいお前!!」
「はい?」
私は土方さんに呼ばれ、周りからの注目を受けてしまった。
なんの拷問ですか?これ……。
「お前、名前は?」
「え?あ、紫月澪と申します。」
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