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――時は幕末。
武士が世を占めた時代……。
その町の一角に、少女は立っていた。
「うっは…やっぱ夢じゃない、か…。」
身をつんざくような寒さの中、少女は呟いた。
誰も来ないような路地で、ただ一人、呟いた。
「よし、帰ろ。これ以上長居してたら命が消え果てる」
少女は長い黒髪をかき揚げ、立ち上がるとひとつの場所を目指し、スタスタと道を踏みしめて行く。
「…坊主、命が惜しけりゃ、金だしな」
少女が道を歩き始めて大通りにでると、一人の男がそう言って絡んできた。
「…はぁ、すみませんねぇ…おじさん。てめぇに出す金なんざびた一文も持ち合わせてねぇよ」
ため息をついた後、少女は男に睨みを利かせると、刀の鯉口を切った。
「言っただろ?命が惜しけりゃ、金だしな」
男は今にも斬りかかってきそうな雰囲気だ。
なのに少女は…、少しも動じずにただ前を見据えている。
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