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「それじゃ、鬼に殺されるんで帰りますね」
少女は男に物を言わせずにその場を去ろうとした。
「てめぇ…!!」
そう言って男が胸ぐらを掴んでくる。
「はぁ……、あ゙ー、あの、私面倒事が大嫌いなので言わなかったんですが私、壬生浪士組の紫月澪(シツキレイ)と申します。人を斬った後の刀の手入れが非常に面倒臭いので、大人しく帰らせてください。」
私がそう言うと、男は怖くなったのか、首を上下にコクコクと何度も振っている。
「あら、以外に素直なんですね。なら、お言葉に甘えて。」
私は笑うと男の手を音がなるくらい強く剥がし、屯所の道を歩いた。
「あー、鬼の笑う顔が見える。死亡確定間違いなしだな、これは」
歩きながらも屯所への道を随分長く感じてしまう。
この時代に来て早一ヶ月。
この時代の事も、段々飲み込めてきた。
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