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天宮 真由
丸井さんは名前を聞くと満足そうに頷いて、少し待っていてくださいますか?と告げて離れていった。
丸井さんは車の中にいた誰かに何かを告げていた。
すぐに丸井さんが車のドアを開けて、スラリと下り立った人は左腕を吊っていた。
あ!
もしかして。
もしかして、あのひと!?
丸井さんに支えられるようにして、彼は目の前に歩いてきて真っ直ぐにわたしの前に立った。
「天宮 真由さん。話したいことがあるんだがわたしについてきてくれないだろうか」
唐突に切り出された話にわたしが固まっていると、彼は右手でくしゃりと髪を崩して横を向いて言い直した。
「すまない。いつも唐突すぎると言われるんだ。……なんだか自分でも興奮しててうまく言えない」
横を向いた顔の縁と耳が赤かった。
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