花火大会の夜

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龍一郎さんが驚いて瞬きする。 「嫌なの、他の女のひとが龍一郎さんを見るのも龍一郎さんがわたし以外のひとを見るのも」 わたしがひとりの女だってことを自覚してしまった。 恋をするのに年なんて関係ない。 大好きで触れたくてせつなくなるのは龍一郎さんだから。 他のひとじゃない。龍一郎さんだから。 「龍一郎さんが好き」 わたしの体を支える龍一郎さんの背中がピクンと震える。 「龍一郎さんしかほしくない」 「それは、」 花火が打ち上がり頭上で錦の色を散らす。 ドーンドーン 遅れて音が弾ける。 「真由……それは、」 「うん。」 「俺はきっと……おまえが嫌だって泣いてもやめてやれない。めちゃくちゃにしてしまうかもしれない」 「いいよ……わたしは龍一郎さんのものなんだから」 ドーン キラキラと光の欠片が降ってきて龍一郎さんの姿を照らす。 「今夜……おまえを俺のものにしたい」
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