花火大会の夜

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寒河江さんの目が龍一郎さんを睨み返す。 わたしにはわからない何かがふたりの間に流れて、寒河江さんは顔を背けると部屋を出て行ってしまった。 追いかけようとしたら、龍一郎さんに腕を引かれた。 「追うな!」 「でも、寒河江さんが!」 行っちゃう。 ふたりは友達なのにケンカなんてイヤ。 「寒河江はおまえのことも」 龍一郎さんの言葉は唐突に途切れた。 「……なんでもない」 その時、わたしは寒河江さんの気持ちを何もわかってなかった───
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