1日目

2/5

29人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「・・・ったく、煩い・・・」 カーテンの隙間から溢れてくる光りは、既に朝が来ている事を示している。 だけど、貴重な日曜日の朝に、早起き何てしたくない。 結婚してからと言うもの、朝の早い主人にお弁当を持たせるため、日々5時起きが日課になっている。 お弁当の無い日曜日くらい、ゆっくりと寝ていて何が悪いと、声を大にして言いたい。 下の階から聞こえる、子供向けのアニメ番組の主題歌の低音だけが、ズンズンと床を伝わり眠りを妨げる。 それに抵抗するように、焦げ茶色のカバーのかかった羽布団を頭から被る。 家は、夫婦に子供一人の核家族だが、家の隣には主人の両親が住んでいる。 別居と言うにはおこがましい、息苦しさのある生活だ。かと言って、表立って嫁姑で揉めている訳でも無いのだが・・・ 兎も角、監視されている感が否めない。日頃から働きに行け等と小言を言われてるから、そう思うのだろう。 しかし、子供が小学校を卒業するまでは、おかえりなさいを言ってあげたくて、聞き入れずにいる。 二度寝を決め込もうと、寝返りをうったとき、インターホンの電子音が、家の中に響く。 時計を見れば6時半、舌打ちをして布団から這い出る。 こんな時間に来るのは、舅か姑しか居ない。寝ていれば、また嫌味を言われる。 ドレッサーの椅子に掛けてあったカーディガンを掴み、急いで階段を降りる。 玄関ドアを開ける前に、気休めに髪を撫でる。 ガチャ 木目調の背の高いドアを開けると、冷えた空気が流れ込み、ブルリと身を揺らす。 「おはようございます。お義母さん 、朝からどうしたんですか?」 「おはよう。和馬起きてる?」 「ええ、呼んできます」 リビングに続く、ダークブラウンのガラスドアを開くと、颯馬が真剣な顔で、奇っ怪なキャラクターの出てくるアニメに夢中になっていた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加