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「・・・ったく、煩い・・・」
カーテンの隙間から溢れてくる光りは、既に朝が来ている事を示している。
だけど、貴重な日曜日の朝に、早起き何てしたくない。
結婚してからと言うもの、朝の早い主人にお弁当を持たせるため、日々5時起きが日課になっている。
お弁当の無い日曜日くらい、ゆっくりと寝ていて何が悪いと、声を大にして言いたい。
下の階から聞こえる、子供向けのアニメ番組の主題歌の低音だけが、ズンズンと床を伝わり眠りを妨げる。
それに抵抗するように、焦げ茶色のカバーのかかった羽布団を頭から被る。
家は、夫婦に子供一人の核家族だが、家の隣には主人の両親が住んでいる。
別居と言うにはおこがましい、息苦しさのある生活だ。かと言って、表立って嫁姑で揉めている訳でも無いのだが・・・
兎も角、監視されている感が否めない。日頃から働きに行け等と小言を言われてるから、そう思うのだろう。
しかし、子供が小学校を卒業するまでは、おかえりなさいを言ってあげたくて、聞き入れずにいる。
二度寝を決め込もうと、寝返りをうったとき、インターホンの電子音が、家の中に響く。
時計を見れば6時半、舌打ちをして布団から這い出る。
こんな時間に来るのは、舅か姑しか居ない。寝ていれば、また嫌味を言われる。
ドレッサーの椅子に掛けてあったカーディガンを掴み、急いで階段を降りる。
玄関ドアを開ける前に、気休めに髪を撫でる。
ガチャ
木目調の背の高いドアを開けると、冷えた空気が流れ込み、ブルリと身を揺らす。
「おはようございます。お義母さん 、朝からどうしたんですか?」
「おはよう。和馬起きてる?」
「ええ、呼んできます」
リビングに続く、ダークブラウンのガラスドアを開くと、颯馬が真剣な顔で、奇っ怪なキャラクターの出てくるアニメに夢中になっていた。
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