29人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
一夜明け、今日から1週間が始める。日常の生活に戻り、朝早くからお弁当と朝食作りを始める。
普段と違うのは、和馬が起きて来るまで、つく事が無いテレビがついて居る事くらいだ。
佐久間さんの事件が気になり、ついついつけてしまった。
台所で朝から妙にハキハキとしたキャスターの喋りを聞きながら、寝ぼけ眼で包丁を握る。
毎度の事ながら、これでよく指を切らない物だと自分で感心する。
1時間ほどお弁当と朝食が出来上がる。申し訳ないが、お弁当の残りにプラス数品が朝ごはんだ。
6時、何時もの時間に和馬と颯馬を起こしに行く。
和馬は兎も角、颯馬の寝起きは悪い。酷い時は此れから15分程の攻防戦になる。
寝室のドアを開け、お決まりの台詞を叫ぶ。
「おはよー。時間よ、起きて」
カーテンを開けて朝日を取り込む。
寝室は東側に窓があるから、朝日が気持ちよく入る。冬の時期でなければ直ぐに窓を開けるのだが、今はそうはいかない。
和馬はムクリと起き上がると、掠れる声で「おう」とだけ言ってリビングに向かう。
寝起きで声が出ないなりの「おはよう」のつもりなのだ。それを見届けて、颯馬を起こしにかかる。
先ずは台所仕事で冷えた手を、額にピタリとくっ付ける。
「颯馬、起きるの。学校遅れるよ」
「・・・」
今日は長い戦いになりそうだ。
布団を捲ればモゾモゾと移動し、蓑虫か昔あっただっこちゃん人形のように布団に絡みつく。
それを脇腹を擽ったりしながら少しずつ剥ぎ取る。
小学2年生ともなれば、重たくて抱え上げるのも一苦労。自主的に起きてくれないと困る。
どうにか、10分程で我が家の蓑虫颯馬を起こし、1階のリビングに連れて行くと、和馬の姿が見えない。
きっと隣の母屋に挨拶に行ったのだろう。
まだ眠そうな颯馬のお尻を叩いて、学校へ行く準備を急かす。
此処で放っておくと、ソファーの上でブランケットに包まれた蓑虫がまた出来上がる。
ダイニングテーブルに朝食を並べながら、颯馬を視界の隅で監督する。
食事が並び終わった頃、和馬が戻り、颯馬の着替えが終わる。
最初のコメントを投稿しよう!