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「アイロンかけないとヤバいかな…?」
タンスの奥深くに眠っていたフォーマルを引っ張りだす。
この服を着たのは、今までに一度だけ。
確か…会社関係のお母様の葬儀だっけ?
会ったこともない他人のお葬式なんていうのは、ほんとに退屈なモノだった。
少しキツめのフォーマルに袖を通して、鏡に映す。
全身黒の、カッチリワンピース。
「うわ…」
あまりに似合っていない自分の姿に、ガックリきた。
なんて言ってても仕方ない
セットで安く買った黒のカバンとパンプスを履いて、家を出た。
…なんか、変な感じ。
回りの視線がビシビシと伝わる。
着慣れないフォーマルに若干よろめきながらも
あたしは早足に駅へと向かった。
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