81人が本棚に入れています
本棚に追加
/152ページ
いつもの通勤車両とは違って
乗り込んだ、地元へと続く電車は空いていて、ガラガラだった。
田舎だし、そりゃそうか。
「1時間半ぐらいかかるかな…」
あたしは席に座って、腕時計に目線を落とす。
告別式は、10時からだから……うん、余裕余裕。
あ、久美にもメール送っとこ。
送信ボタンを押した瞬間、ガクンと体が傾く。
プア―という音とともに
ゆっくりと、電車が動き出した。
これからあたしは、帰るんだ
地元に。
最初のコメントを投稿しよう!