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構外で絵をかく授業の時だった。
好き好きに散らばって、絵を描いている最中
隣に座る友達の健太は笑いながら
だけど少し真面目な顔をして、あたしにそう言った。
「何それ? というかヤマブキソウって何?」
まるで興味のないあたしに
健太は、黄色のヤマブキソウの花を差し出して。
「ナイショ」
あたしにだけ見せてくれた
健太の笑顔が好きだった。
恋人になったあたし達を、久美は誰よりも祝福してくれたのに。
あっさりとフられたあたしは、文句一つ言えないまま
健太を避けるようにして、あたし達は大学を卒業した。
久美は健太と連絡を取っていたみたいだけど
あたしにはもう、どーでもよかった。
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