一本の電話から

16/36

82人が本棚に入れています
本棚に追加
/152ページ
「あ~~飲んだ!満足っ!」 少しだけフラりとする足をなんとかこらえ、腰を伸ばして深呼吸。 タバコや酒の匂いから解放されたあたしは、春先の外の空気をめいっぱい吸い込んだ。 あれからくだらなく、どうでもいい話を喋りつくして。 結局あたし達が居酒屋を出たのは、3時を回った頃。 「んげ。もうこんな時間?明日起きれるかな…」 「塔子と飲むといつもこうなるから嫌なのよね~」 「何それ。あたしが悪いみたいな言い方してーーっ」 「ちょっと塔子、そっち溝あるって!」 久美があたしの腕を強く引っ張る。 その力だけでよろけるあたしは、本当に酔っちゃったのかしら? 「しっかし、なんで合コンやってたのに塔子と二人で飲んでんだか…」 「楽しかったんだからいいじゃん~」 あたしがヘラっとそう言うと、久美は少し考えるように腕を組む。 「ん~~もしかしたらさ? 塔子の場合、案外近い人のがいいかもしれんね」
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加