一本の電話から

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はい? 身近な人、ですか! でも、そんな人 「どこにいるってゆーのよ」 「探しなさい」 久美のアッサリとした返しに、思わず笑ってしまった。 まあ、そりゃそうですよね…。 でも、身近な人か。 っていっても、あたしの周りに男なんていないんだけど! 見えない未来を想像するあたしの手に、ふと、温もりを感じて。 久美があたしの手を握り まっすぐにあたしを見ていた。 「悔しいけど、健ちゃんも前に進んでる」 握られた手に、ぎゅっと力がこもる。 「だから、塔子も、前に進もう」  あたしを見る久美の瞳が、揺れた。
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