一本の電話から

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駅について、久美と別れた後 歩きなれた道を1人歩く。 チカチカする眩しい光も、うるさい人の波も無い。 綺麗な小川が見えるこの静かな町が、やっぱり落ち着く。 まだおぼつかない足取りを、こけないように、丁寧に進んだ。 ―――あ、満月だ。 ふと見上げた夜空に、ぼんやりと浮かんだ月。 こんなに、綺麗なのに。 あたしの心はもやもやとした何かが渦巻いていて、なんだか目を反らしてしまった。 ”健ちゃんも、前に進んでる” 久美の言葉が、まだ 脳裏に焼き付いて 離れてくれない。
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