一本の電話から

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………耳が痛い。 薄暗い個室に反響する女の歌声が、ガンガンと頭に鳴り響く。 名前も知らない女が、独占したマイクで陶酔したように歌ってる。 この歌、あと何分続くの? あんたの音域よりはるかに高いでしょ、その歌は。 ーーーあぁ、そういえば “男受けするには高い歌を選曲せよ” とかなんとか、久美(クミ)が教えてくれてたなぁ。 あたしには、無理。 終わらない金切り声から気を紛らわそうとして、カシスサワーを一気に口に流し…………。 おっと、いけない。 一口ずつ飲むんだっけ? めんどくさ!
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