一本の電話から

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「何やってんのよ塔子!大丈夫?」 斜め前に座る親友の久美が、笑いながらあたしを見る。 だけどその目は笑ってない。 「…ゴホッ、うん、なんとか…」 あたしがそう言うと、久美は声を出さずに口を動かした。 えーと、あの動きは…… バ カ? ひ、ひどい……。 あたしだって、慣れない環境に必至に溶け込もうとしてるのに! ていうか久美の奴、いつもより念入りに化粧してるし。 肌がプリプリとしてキレイに見える。 ……あたし、ちゃんとしてきたっけ。 「カクテル好きなんだ?」 うるさい歌声に紛れながら、男の声が飛んできた。 視線を向けると、目の前に座る茶髪の男が私を見ていて…。 えーと。もしかしてあたしに話しかけたの? ゆっくりと視線を移すと、私を凝視したままの久美の口がまた動いた。 いけ、と。 怖…。
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