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後ろから耳打ちするような、声。
……切ない?
カタカタと指を動かしたまま、あたしはそれを聞き流す。
「寂しいって、顔してる~」
そう言いながら椅子と一緒にコロコロと寄ってきたのは
仲村さんだ。
よりによって、なんでこんな席近いの?
可愛らしいマグカップから苦い匂いが流れてくる。
朝からブラックコーヒーなんて、あたし絶対に飲めない。
「…仲村さん」
「ん~?」
あたしはクルッと椅子を回転させて、仲村さんと向き合った。
「なんで、田辺主任がいないからって、寂しがんなきゃいけないの!」
周りに聞こえないよう小声で言って
彼女をキッと睨んだ。
「……あたし、田辺主任がいないからなんて一言も言ってないのに~!」
ダメだ
誰かこの子を止めて。
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