序章と出発

3/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/115ページ
「神の鉄拳!」 「ぐぼぁっ!?」 突如鳩尾に激しい痛みを感じて起き上がる。 だか、うまく呼吸が出来ないせいで起き上がれずに悶えていた。 「まったく、情けない。そんな事で今日からの学校はどうするのですか」 「こ…ぬ…きゅっ…ガ」 「はっきり喋りなさい!」 誰のせいで!っと、心の中で文句を言いつつ、呼吸を整える。 薄汚れた木製の部屋、いつものオクスの部屋だ。 「マリア先生…、朝から神の鉄拳は死ぬ。マジで」 「それでは三度起こしたにもかかわらず、目を覚まさなかった理由を懺悔なさい」 「ワタシクシのふちゅーいデス」 硬く握られた拳を見た瞬間、土下座の構えをとる。 これ以上は間違いなく天国に送られてしまうと悟ったからだ。 先生と呼ばれた女性は、オクスの住む孤児院の管理をしている修道士で、子供達からはマリア先生、と呼ばれている。 修道服に身を包んだ清楚で綺麗な女性で、金色の髪と瞳が特長だ。 しかし怒ると恐く、先ほどのように鉄拳(ボディブロウ)をかましてくる。 「それでは、朝ごはんにしますから。顔を洗ってらっしゃい」 いつもの優しい笑顔に戻ると、部屋から出て行った。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!