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そう言うや否や、疑織は玩具の集団の中へ飛び込んで行った。
「はっ!自ら飛び込んで行くなんて馬鹿が!!殺してくれとでも言っているようなものだ(笑)」
計時が疑織をあざ笑う片隅で、廡織は一つの小瓶を取り出していた。
小瓶の中には何やら白い粉上の物が入っている。
廡織はその白い粉を当たりに撒いて行く。
撒き終わると、また違う小瓶を取り出した。中にはカプセル錠が入っていた。
今度はそのカプセル錠を自らの口に含み、持参したミネラルウィーターで飲み込んだ。
「むふふふふ!ほらほら!どうした零崎!動きが鈍って来たぞ!疲れて来たのかぁ?」
疑「ぁんの尼・・・」
疑織は計時に対し苛立ちを隠せない。しかし、疲れて来たのは確かであった。
体力には人心ある疑織でも、この数はヤバかった。
まさか・・・
疑「(左京区全体が玩具だったとはっ!)」
時宮計時は左京区全域に結界を張り、玩具箱としていたのだ。
つまり、最初から二人は計時の罠にはまっていたという事だ。
疑「(まいったな~。・・・ってか、本当に息苦しいんだけど。・・・・・)ま、まさか!?」
疑織は屋根の上で傍観する廡織を見上げた。
若干疑織の顔が青い。
廡「頭上にご注意くださーい。」
疑「う、嘘でしょ?!」
疑織は真上を見るや否や、玩具の集団から飛び出た。
そのまま走って近くの塀へ身を隠す。
廡「本日の天気は、曇り時々毒酸雨でしょう。」
ザーーーーーーーーー
ザーーーーーーーーーーー
先ほど疑織がいた所に大量の毒酸雨が降り注ぐ。
毒酸雨に当たった玩具は当たった所から焼けただれ、肉、筋肉、骨を溶かしていく。
勿論、計時も同じ事になっていた。
廡織を除いては。
「あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
計時の服が、肉が、筋肉が、骨が溶けて行く。
塀へと身を隠した疑織だったが、間一髪で危険を見抜き、家の中へと侵入し毒酸雨から難を得ていた。
廡「(奇野から買った新薬の効果を試したが、これはイイ結果が出た。生き物だけを溶かし、物には無害。欠点があるとしたら・・・)敵味方も無いというところかな?」
計時だったモノは既に行きたえ、玩具であったモノは後かたもなく溶けていた。
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