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ガヤガヤガヤ
廡織は市内中心部のとある通りに来ていた。
家から出て来た後、地下鉄などの交通機関を使って訪れていた。
アル人間に会うために。
賑やかな大通りを一筋脇の小道に曲がると、そこからは別世界のような光景が広がる。
暗く、薄汚れた裏道。
その裏道を真っ直ぐ歩いて行くと、一つのドアにたどりつく。
廡織は、特に気にする事も無く、そのドアの中へと入って行った。
コンクリート製の地下へと続く階段を下りて行くと、そこにはカウンター席が付いたBARがあった。
廡織はここのオーナーであろう人間に珈琲を注文し、カウンターの一番奥の席へと足を進める。
カウンター席の一番奥には既に人が座っていた。
その者は草色の袴に藤色の羽織物をはおり、カウンターに自分の物であろうドクターバックを置いて、紅茶を優雅に飲んでいた。
廡「待たせた?」
廡織も椅子に座り、出された珈琲を一口飲む。
「いやぁ、僕もついさっき来たばかりさ。」
廡「そう言う事にしとくよ。」
廡織はコートのウチポケットから白い粉の入った小瓶を取り出し、カウンターに置いた。
廡「この間試しに買ったやつなんだけどさ、殺傷能力は抜群だったよ。」
「おやぁ?もう試したのかぃ?で、どうだった。」
小瓶を手に取り、その男は問う。
廡「白い粉を辺りに撒く事で、空気中にある水分と化学反応を起こし、雲を発生させる。化学反応を起こした水分は雨となり地に降り注ぐ。酸性雨の劇薬版と言ったところか。無機物には無害。生き物には有害。流石、奇野と言った感じかな?」
「くっ、そう言って貰えると嬉しいよ。僕も作った甲斐があるもんだからねぇ。」
廡「ただ、一つ難儀なのは、敵味方関係ないって所だな。敵はまだしも、家賊まで危険にさらすのはちょっと気が引ける。」
「君らは血縁を大事にする一賊だからねぇ。もう少し改良が必要の様だ。」
二人は一通り話した所で、それぞれの飲み物を口に運んだ。
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