神様

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気がつくと柑菜は青い空と白い地面が広がる空間に居た。 雲ひとつ存在しないどこまでも続く真っ青な空。 地平線が見える程続くタイル張りの真っ白な地面。 柑菜はそこに1人ぽつんと立っていた。 「ここは…」 どこ…? 柑菜が胸の中で尋ねた質問。 それに答えをくれる人は、柑菜しか居ないこの空間に存在しない。 …はずだった。 「ここは世界と世界の間、名も無き世界だよ」 突如一人の男が現われた。 「はじめまして柑菜さん。僕がここに君を呼んだ"神様"だよ」 ニッコリと笑う金髪の青目の青年。 彼の背には白い服から伸びる真っ白な2対の翼が生えていた。 「あなたの声…聞いたことある…。あなたが夢に出た人なの?」 柑菜が真っ直ぐな視線でそう聞くと、青年は少し悲しそうに笑った。 「そう、君に頼みたいことがあって。夢の中で聞きたかったけど、死んでもらうしか君と話す方法がなかった」 青年の言葉を聞くと柑菜は空を見上げた。 青年が発した"死"という言葉。 これが柑菜に自分が死んだという実感を持たせた。 「そう…やっぱり、死んだんだ…私」 空を見上げながら拳を握り締める柑菜は涙をこらえているか弱い少女だった。
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