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ーピンポーン
チャイムが鳴った。
でも僕は出ない。布団から動く気がしないのだ。
しばらくしてドアを開閉する音が聞こえた。
無断で家に入ってきた人物は俺の部屋の前で止まった。
誰だ?
疑問に思いながらも俺は布団に潜り込んで隠れる。
「優人、久しぶりだな」
ノックの後に聞こえてきた声は懐かしく聞き覚えのある物だった。
「…貴明?」
中学の同級生。
俺の数すくない男友達が扉の向こうにはいる。
「お、やっぱ居たか。入るぞ」
柑菜のお葬式の時も来ていたのので1ヶ月ぶりの再会だ。
「久しぶりだな優人。行かないのか?柑菜の墓」
「行かない…」
僕はその言葉を聞いて出していた頭をもう一度布団に入れた。
「お前の親から聞いたよ。まだ1度も行ってないんだってな。なんでだ?」
僕はギクリとした。
来てそうそうそんなことを聞くとは思っていなかったから。
「………僕はまだ柑菜が死んだなんて思っていない。どこかできっと生きてる」
僕は今でもそう感じてる。
僕だって柑菜ほどでは全然無いけど、勘はいいほうなんだ。
僕の勘がそう告げてるから僕はそれを信じてる。
たとえそれが願望の詰まったものだとしても。
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