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佐倉井 柑菜(サクライカンナ)は高校1年生。
高校生としての責務である学校へ向かうための準備は済ませた。
寝覚めが悪かったのも手伝ってニュースを眺めながらぼーっとしている。
ー通り魔連続傷害事件
ー通り魔の被害はすでに5人を越えており
ー女性3人、男性2人の重軽傷者
ー黒い帽子にサングラス、ジャッケットもズボンも黒
ー警察の捜査をくぐり抜けいまだ捕まっておらず
アナウンサーの声を聞き流しているとチャイムの音が聞こえた。
柑菜は鞄を持ち、靴を履くと立ち上がった。
しかし目の前にある、自分と外とを繋ぐこの扉を開くのは躊躇ってしまう。
「…はぁ……」
柑菜は大きくため息をつくとゆっくりと扉を押し開いた。
「あ!柑菜おはよう!!」
「うん、おは…
「遅いですわよ!佐倉井柑菜!!今が何分かわかっておいでで?」
「わざわざあたしと優人が待ってあげてるんだから早くしなさいよ!」
「もうちょっと早く出て来れないんですか?佐倉井さん」
扉を開けた先には挨拶をしてくる幼馴染優人とその取り巻きが3人いた。
取り巻き…こいつらに会いたくなかった。
「ごめんね?遅刻しちゃうから早く行こう?」
柑菜は悪いことをしたなどと全くもって思っていないが、話を早く終わらせるためにすぐ謝って足を進めた。
その後ろを4人はキャっキャっと話しなから後ろを着いてきた。
ちなみに話してるのは取り巻きたちで優人は基本相槌を打つだけ。
柑菜の両親と優人の両親が仲が良くてその子どもである私たちは生まれた日からの幼馴染。
なぜ"頃"ではなく"日"なのかというともともと生まれる予定日が近かった柑菜たちは両親達が予定日をずらして同じ日…8月14日にしたのだ。
ちなみに柑菜のほうが約20分早く生まれた。
柑菜の両親は2年前に他界しているけれど優人の両親は今でも元気。
両親たちは皆かなりの美しさで、その子どもである柑菜達も例外じゃない。
と言うか容姿に関してずば抜けている。
そのおかげで柑菜達は自分達が通う美原高校のMs.とMr.という称号を持っている。
柑菜はその容姿を有効に使い、KANAと言う名前でとある有名雑誌の専属モデルでをしていたりする。
写真集を出したら100万冊は軽く売れたくらいには有名人。
最近では偶にテレビに出たりもしていた。
しかし、優人はそうじゃない。
それはある程度学校に近づいたあたりから確認できる。
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