鼓太郎 22歳 ゲイ

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身体を重ねたまま僕を気にかけてくれた。 痛くなかったわけがない。 下半身はガクガク震えてるし、後々見たら血も出ていた。行動の最中、僕は今までだした事もないような声をだしていたし、あり得ない痛みに耐えかねて逃げようと何度も何度も彼の胸を押したりした。けれどその度に彼は片手で僕の腕を頭の上で抑えつけ、反対の手で僕の髪を鷲掴みにキスをして行為を続けた。 「痛くて死ぬかと思った。」と、僕。 しかし僕もイってしまっている手前、気持ちよかったとも伝えると彼は今まではみた事もなかった笑顔を浮かべ今まで一番可愛らしいソフトなキスをしてくれた。 彼の腕に抱かれ未だガクガクに震えている脚に彼の脚が重なったらすーっと震えは止った。 「名前は?」 彼が聞く。 はっと我に帰った。 駅前で待ち合わせをし、迎えに来てくれた彼についていっただけでお互いの名前を知らない。 初体験ってそんなもんなのかと呆気に取られていると彼が不思議そうな目でこっちを見ているのに気付き、慌てて名を名乗った。 「鼓太郎です。なんてお呼びしたらいいてますか?」 「カズでいいよ。鼓太郎ね。かわいーな。きっとモテるよ。初体験が俺で申し訳ない(笑)」と、彼。 特に人生で特別モテたこともないので彼の言葉をお世話と認識し、またギュっとされ寝かされるとすぐに彼は寝てしまった。 ふとベットの横にある時計を見ると時刻は夜の10時過ぎ、厳しい両親なので帰りが遅くなるとかなり叱られる。 彼の腕を外し、慌てて服を着るとなにも言わず、部屋を出た。 彼からその後メールなど連絡もくることなく。数日はおしりの痛みと初体験の衝撃の余韻の中にいた。 「16歳だったんだね。 またしたいな。」彼からメールが来たのは一週間後。 きっと僕のアドレス帳の生年月日をみたのだろう。だが不思議と彼とは会うこともなく。 大人の遊び道具に再びなることはなくなった。 大きな衝撃ら大きな恐怖を僕に残したのかもしれない? 母親にセックスをした翌日に顔が変わったねと言われたが、この日以前の僕はもっと幼い顔立ちをしていたのをこの年、22歳になって写真を見ていて納得した。 後戻りをするならいましかない。そうやって悩み始めたのもその頃だったのかもしれない。
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