第一面

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紹介しよう。 「階段下りるのメンドクセ~」 と、気だるそうにボヤいているのが俺、白羽九武(しらは きゅうぶ)だ。 「腹減った~」 と、品のないセリフを発しながら腹部をさすっている傍らの少女が箱立葵(はこだて あおい)だ。 ベタな設定だが、こいつとは小学校時代からの幼馴染みである。 二人して同じ高校に進み、今年の春からまたしてもクラスメイトとなってしまったわけだ。 「十年連続でクラスメイトとは、なんたる腐れ縁だ!」 「あたしだって勘弁してもらいたいわよ。っていうか、なんで同じ高校を選んだワケ?」 「お前が真似したんだろ」 「真似したのはあんたでしょ」 どっちでもいい口論を重ねながら、俺たちは一階の食堂へ向かう。 「さっさと歩いてよね。牛丼定食が売り切れちゃうわ」 「階段の下りは意外とキツいんだよ。ふくらはぎとかかとがぁ……」 教室は六階、食堂は一階なのだ。 「まったく、九武はだらしがないんだから。先に行ってるわよー」 葵は全力疾走で階段を駆け降りていった。
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