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券売機前で。
「牛丼定食を食べたいけど、太ればあの人に嫌われちゃうかも」
「ったく牛丼娘め。ダイエットなんてしなくても元々スタイル良いだろ。吸収したエネルギーを無駄なところで消費しすぎなんだよ」
「九武こそ、一日のエネルギーがどんだけ少ないのよ」
「おい、後ろに人の列を待たせてるぜ。口喧嘩してる場合じゃねえっての」
俺は涼しい顔をして葵をたしなめた。
ひとつ後ろにはクラスメイトの男子がウズウズと待っている。
「今日は牛丼定食は我慢しようかな」
葵は和風定食のボタンを押した。
「じゃあ俺も」
「おうおう、夫婦そろって仲がエエですな」
後ろで待っていたのはクラスメイトのアホ男子だった。
ったく、余計なことを言いやがって。
「俺と葵が夫婦だと?」
「あたしと九武が夫婦だって?」
俺と葵は驚異のシンクロ率でアホ男子に同時に喝を入れていた。
勘違いする奴もいるが、俺と葵の関係は恋人でもなんでもない。
この牛丼娘と付き合うだなんて、俺のほうが願い下げだぜ。
葵だって同じように思っているはずだ。
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