第一面

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「ズーズー音を立てて味噌汁をすするなよ」 俺は呆れながらも向かい側に座る葵に注意した。 「そうね、あの人に嫌われちゃうもんね」 「おしとやかぶってもボロはすぐ出るぜ」 「う、うるさいわね。黙って食べなさいよ」 「お前に言われたくねえよ」 と、普段のペースで葵と会話していた。 「あたしは元々おしとやかで品のあるレディなのよ」 いつも通りの風景。 でも俺は……。 「あんたにレベルを合わせてやってるだけなんだからね」 見つけてしまった。 「罰として今日の放課後はあたしに付き合ってもらうからね」 食堂の奥のテーブルで、一人で昼食をとっている少女の姿を。 「あたしの運命のあの人を探し出してもらうわよ」 葵の言葉は聞こえない。 世界が無音だ。 「ねえ、九武。聞いてるの?」 彼女の姿が網膜に焼きついて離れない。 「味噌汁こぼしてるわよー」 やべえ、一目惚れしちまったかも。
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