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小学校までの道を、僕はうつむいて歩いている。
前が見えていないので、二度もひかれそうになった。
一度目は商店街で自転車にベルを鳴らされた。
二度目は信号が赤に変わったことに気づかず、トラックにクラクションを鳴らされた。
生きる希望を失って前も見えなくなった……なんてことはない。
単純に折り紙に熱中していただけなんだな。
黄色と黒の両面紙で折られた手乗り虎。
今にも大口を開けて獲物に食らいつくような勢いだ。
僕の指先は紙切れに生命力を吹き込んでゆく。
否、作品に宿るいのちは正方形の小宇宙の中に初めから埋まっているんだ。
彫刻家が石材の中に形を見いだし、のみを打って削り出すように。
考古学者が砂漠に埋まった遺物を発掘するように。
自分が作ったという感覚はない。
ただ、そこにあったものの声を聞いて、紙の中から掘り出してあげているだけなんだ。
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