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何かの呪いではないかと思い、専門書を読み漁った時期もあった。結局、それらしい記述は見つからず、世間ではオカルトブームが到来しただけで終わってしまった。
流行に対し、敏感な反応を示すのは、何らかの特別な病気にでも罹っているからではないかと思い、病院に通院した時期もあった。その時、世間では空前の健康ブームだった。
最近、男はこう思うようになった。
「もしかしたら、私が流行に敏感なのではなく、流行が私に合わせているのではないか」
馬鹿馬鹿しい想像であるが、実際に男の行動が後々の世間での流行となっていた。とても、偶然の一言で片付けられることではない。
それを、立証するかのように、男は少し前にリストラされた。年中、身体を壊してばかりいるので、仕事に支障をきたすという理由であった。そのせいなのか、その後、世間では史上空前の大不況と就職氷河期が訪れた。
男は思う、このまま自分が生きていていいのか。もし、自分が世の中に何らかの影響を与えているのならば、いっそのこと消えてしまった方が、世の中のためになるのではないか。
しかし、自分が死んでしまった後で、大勢の人が自殺するのではないかと思うと、二の足を踏まずにはいられなかった。
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