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男は誰よりも流行に敏感である。
それは、感と呼ぶべきだろうか。流行の最先端となる情報誌が、それを取り上げるよりも前から、男は流行となるモノを手に入れていた。
誰よりも先に流行を手にする男であるが、彼はそれを自慢しようとはしなかった。それは、男にとって必要なモノであったから購入したまで、第三者に自慢して優越感を得る為ではない。
それに、流行に敏感というのも、必ずしも良いことばかりではない。プラスの面だけでなく、反対にマイナスの面で作用する場合だってある。
世間である病気が流行しだす前に、男は必ず病気に罹っていた。流行病の患者としては、第一号なので、効果的な治療が見出されずに病を悪化させてしまうことも多々あった。場合によっては、死にかけた時もあった。
「どうして、私はこのような力を手に入れてしまったのか」
毎年のように流行病に罹ってしまう男はいい加減にしてほしいと思っていた。どんなに対策を講じ、病気に罹らぬよう気を遣っていても、結局は病気罹ってしまう。
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