レベル弐

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  メダリオン・ステーションを出たジョンは、自家用のネイピア君初号機に乗って帰宅しようとしていた。 「やっぱ歩行スキルっていいよな」 窮屈なカプセル内で足踏みをしてみる。 「けどメダリオンに頼ってラクしてばっかだと、自分自身の歩行スキルを忘れちゃいそうになるからイカンな」 錆びた銅のような青緑色の機体はメダリオン専用道路を行進する。 カプセル内に振動はほとんど伝わらない。 画面を見ている限りでは実際に乗っている感覚はまるでなく、ロボットゲームをプレイしているのと全く変わらないのだ。 「画面上で見ると、人間ってホントに蟻みてえだな」 専用道路の脇に人間用の細い歩道が延びている。 ちまちまと自分の足で歩く姿は、カプセル内の画面では蟻の行列のように映っていた。 画面上では「あそこにいるのは自分と同じ人間なんだ」という自覚が薄れてしまう。 どうしてもゲームをやっているような感覚になってしまうのだ。 メダリオンは自分のレベルを上げさせるために、プレイヤーの意識に働きかける能力があるのかもしれない。
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