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首都に浮かぶ巨大要塞。
飛行スキルを持った数万基のメダリオンが立体パズルのように積み重なった擬似的建造物だ。
要塞の上部には四本の柱状の塔で構築された空中灯台がそびえている。
「頂上まで登り愛の誓いを交わしたカップルは永遠に結ばれる」という伝説が、まことしやかにささやかれている。
「エリザベスちゅわん、愛の誓いのキッスを~」
金髪モヒカンの軽そうな男は両手で恋人の肩を抱き込み、タコ口を押しつけようとした。
「あら、イヤだわ。まだ早いわよ」
エリザベスは照れ隠しに男を押しのけ、赤らめた顔を両手で隠した。
押された男はバランスを崩す。
あわや灯台から真っ逆さまというギリギリの状況で、エリザベスに頼りなくすがりつき、事なきを得たのだった。
「少しは加減しろっつーの!」
だがエリザベスは男の膝が小刻みに震えるのを見て、こう言った。
「緊張してるのねー。あたしも緊張しちゃって力の加減を間違えちゃった、テヘ」
「それは違うから、いろんな意味で間違ってるから!」
「それに、誓いのキスはまだ早いね」
「おいおい、話聞けよ!」
「自分の足で頂上まで登らないと意味ないの。飛行メダリオンを使うのは反則なんだよ」
「ええっ、あの地獄の螺旋階段を登るのかよ」
「そうしないとキス出来ないわよん」
上機嫌なエリザベスはルンルンと鼻歌を聞かせながら、男を引っ張って行った。
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