プロローグ

2/2
前へ
/59ページ
次へ
画面上部が真っ赤に燃えている。 点滅する感嘆符。 鼓膜破りの警報ブザー。 『停止マデ十秒、九、八……』 「ちょ、待った待った! すぐコイン入れっから。頼むから今止まんなよ」 ジョン・ネイピアはコントローラーから汗ばんだ右手を離す。 その手をコインボックスに強引に突っ込み、コインを鷲掴みにした。 「ヤバイ、間に合えコラ」 注ぐような勢いで、投入口にコインを次々と押し込んで行く。 手慣れた指使いだ。 コインを投入し終えた手は、無精髭をひと撫でしてから再びコントローラーを握った。 「よし、ネイピア君弐号機、復活!」 忌まわしいマークは画面から消え失せている。 ジョンはネクタイを引き抜き、スーツの胸元を開放した。 狭いカプセル内は蒸し風呂状態なのだ。 熱気で専用メガネが曇っている。 ジョンはその専用メガネを取っ払い、画面上の敵機の頭部に照準を絞った。 「乱射パーティーの始まりだぜい!」 親指でボタンを連打する。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加