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「今日はいいよ?寂しかったし」
ふと聞こえた甘えるような声。その声に流されるかのように車をバックで停車させ、軽く唇を合わせる。
離れた唇と少し上目遣い気味に俺を見上げるゆかりに微笑みかけると頭を撫でた。
悠斗は既に深い眠りに入っているようだ。この分だと風呂も歯磨きもさせる事はないだろう。一旦起こすとまた寝させるのが大変だからだ。
「ほら、早くいこ」
急かすようにゆかりが車の外に出て悠斗をバギーに乗せ換える。
「はぁ」
俺はその様子をルームミラー越しに見てため息を吐いた。いつもなら心躍るゆかりからの申し出も今日は素直に喜べない自分がいる。
自身の心の声は意外と冷静で、この心の中で沸き起ころうとする劣情を沈めようとしていた。
しかし、男の体というものは本能的である。自宅に入り、悠斗をベットに寝かしたゆかりが正面から抱きついてきた時、俺は臨界を越えた劣情の赴くままゆかりをソファへと押し倒した。
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