☆一目ぼれって信じる?

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  「ほな、行ってきます」 それはまだ肌寒さの残る 2月の終わり。 家の玄関で俺、片桐耕介はいつものように妻ゆかりと2歳になったばかりの息子悠斗に見送られて会社に向かった。 「パパ、頑張ってね」 愛しい伴侶と愛息子に見送られ、マンションのエレベーターホールに向かう。 今日は金曜日、 本来であれば浮かれ気分のはず。 でも気分は晴れない。 1階まで下りるエレベーターで壁面の鏡に映った自分を見た時思わず深いため息が出た。 左側頭部にできた寝癖にである。 家から会社までは20kmほど。 車通勤をしている関係で30分ほどで到着する。 気分が晴れない俺の気持ちを表したかのような曇り空の下、俺はいつものように車を会社へと走らせた。  
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