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朝一の大阪環状線は車の影もそれほど多くなく、すんなりと法円坂の出口まで辿りついた。
時間にして20分。
会社のあるビルへと車を吸い込ませる。
「おはようございます」
会社の駐車場で見かけた1つ年上の先輩の籠山修司(カゴヤマ シュウジ)と目が合うといつもどおり挨拶をする。
「あっ、おはよ」
修さんは俺が入社した時からお世話になっている恩人だ。酸いも甘いも一緒に経験している。これまでの辛い会社生活の中でここまでやってこれたのは彼の存在があったからに他ならない。
「耕介、今日は任せたで」
修さんはそう言いながら俺の肩を抱く。修さんの体重と同時に俺の心に暗い影がのしかかってきた。
「正直、やりたくないっすよ」
俺の正直な愚痴
それを修さんは鼻で笑う。
「そんな事言うなよ。俺だってできるんやったら余興なんてやりたくないわ」
すると修さんも困ったように笑い、
俺に同調してくれる。
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