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次の時間の始まりのチャイムが鳴り、俺達は漸く解放された。
金持ち学校故の休み時間の長さが憎い。
担任から「早く行けよ」という声をかけられ、生徒指導室から締め出される。
「「………」」
やっと出れたのは喜ばしい事だ。
が、今は授業中で廊下は目茶苦茶静か。静けさが、鼓膜を揺らすくらいに。
こんな時間に廊下をうろついていたら、絶対見付かる。怒られる。
光太も同じ事を思ったのか、
「(どうするよ)」
と聞いてきた。勿論口パク。
「(どうするってお前……サボる以外に選択肢あるか?)」
「(いや……無いなw)」
結局二人で、こんな時間まで解放してくれなかった担任が悪い、という結論を叩き出し、ゆっくりとした動作で歩き始める。
目指すは、トイレだ。
こんな時こそ、あの無駄な綺麗さと広さが役に立つだろ。
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