1068人が本棚に入れています
本棚に追加
*苑草 望side*
「うっわ、でけー…」
鉄製の大きな門とその後ろにそびえ立つ校舎を見ながら、オレは思わず感嘆の声を漏らした。
族を抜けてから、伯父が理事長をしているという学園に転入する事が決まるまで。
あの時はバタバタしてて気付かなかったけれど、沢山の事があったもんだ、と素直に感心した。
絶対着けていけ、と鬼の形相で言われ、渋々着けたこのカツラと眼鏡が違和感。外したい。
けどまぁ、アイツらもオレの事を心配してくれてるからな……仲間の頼みは、聞かなきゃな!
そう考えつつ、冷たい門をペタペタと触る。開かねー…。
仕方ない、上るか。これでも小さい頃、木登りが大得意だったしな。
元々あった筋肉と自身の(不本意な)身軽さで門の上にのった。けど………
「ここ、高すぎないか…?」
怖い。下りたら失敗しそう。
だが勇気を振り絞って下りると、やっぱり失敗した。尻餅をついた。痛い。
「大丈夫ですか?」
すると、手を差し出された。
その顔を見て、ギョッとした。
そうだ。この学園、生徒会の奴らはオレが元居た族の敵の幹部達が集まってるんだった…。
その幹部の一員が出した手を見て、とった方がいいのか、とらない方がいいのか、悩んだ。
_
最初のコメントを投稿しよう!