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結局とった。
いや、だって…今のオレにもう族は関係ないし……そんな事で避けられちゃ、向こうが可哀相だろ?
「私は嵯玖河 成といいます。よろしくお願いします」
「あ、オレは、「苑草望さん、ですよね」…お、おう」
自分の名前が自己紹介もしてないのに知られてんのは変な感じだな…。
伯父さんが伝えたのかな、と考えながら、成に一番気になっていた事を話す。
「つか、成は何でそんな笑顔作ってんだよ?」
その瞬間、成が固まる。
そして、何かを呟いたかと思うと、成の顔が近付いてくる。
それから数秒間。
オレは現状が把握出来なかった。
成が、オレにキスしている…?
オレ、今、ファーストキスとられてんのか…?
しかも、舌まで入れられた。
「っん……、」
口内に響く水音にまじって聞こえるのは、自身の甘い声。
オレが、こんな声出してんのか…。
認めたくねぇ…!
暫くして、漸く口が離された。
成はニコリと笑う。
が、いくら友達でも、やっていい事と悪い事があった。
「なっ、にしてんだこの野郎ぉぉぉ!!!!」
叫びながら成の腹を殴った。
普通ならここで一発KOだけど、流石オレの族と張り合っていただけあって、腹を抱えてしゃがみ込んだだけだった。
そんな成を無視して、校舎へ向かう。
熱い顔が、憎たらしかった。
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