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それから道に迷いながらもなんとか理事長室に辿り着き、伯父さんと少し話して部屋を出た。
伯父さんに「外したら駄目だよ」と念をおされたカツラを少し弄って、廊下を進む。
無駄に豪勢な作りが、余計に広く感じさせた。
伯父さんから貰ったカードが、つるつるとしていて冷たい。
これが、生徒の証になるそうだ。
寮の部屋も食堂も、このカードが無いと利用出来ない。だから絶対盗まれないように、との事だった。
やっぱり盗む奴も居るんだよな…と思いながら歩いていると、
――ガチャリ
いきなり、近くの扉が開いた。
驚いて、そこら辺の曲がり角の影に隠れる。
「もう時間だ。出ていけ」
その声を背に出てきたのは、男子生徒二人。
ちょっとカッコイイ奴と、髪を結んでる奴。一見不良みたいだ。
二人は少し不服そうな顔をしながら唇を動かして会話をすると、オレが隠れている所とは反対の方向に歩き始め、廊下の奥に消えた。
……変な奴ら。
一人は人柄が良さそうだが、もう一人は無表情な奴の表情筋をほんっのちょっとだけ柔らかくしたような奴。
オレの周りに、現実に絶望して自暴自棄になってアレに似た顔をしていた奴は居たが、アイツは違う。
自然にああなったって感じだ。違和感が無い。
……友達になったら、きっと、笑ってくれるよな。
転校初日。
ちょっとだけ、学園生活が楽しみになった…、気がする。
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