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それから数分後。
俺の左隣を奪い、いい加減な言葉しか返されないのにしつこく話し掛けてくる転校生を無視して、若干冷めてきたシチューを頬張っていると。
「……秀!耳塞げ!」
「!」
この一言で分かった。奴らの襲来を。
いきなり焦って耳栓をする俺らを不思議そうに見つめている転校生に、「とりあえず耳塞げ。いいから」と早口で言うと、その通りに従ってくれた。
いくらウザい転校生でも、初日からあれの餌食なんて可哀相過ぎる。
俺だったら即不登校になれる自信がある。
――ほら、耳をすませば。
――聞こえてくるよ。
耳 栓 す ら 突 き 抜 け る 、
凄 ま じ い 悲 鳴 が 。
それは突如現れた生徒会に向いていた。
それはそれは美形揃いで、騒ぐのもわかる。勿論女子ならだけどな。
驚きのあまり目を丸くさせている転校生を横目に、再度シチューを口に入れようとして――
気付く。
………なぁ、もしも。
本当にもしもなんだけどさ。
この転校生、昨日副会長にキスされてたじゃん。
で、多分気に入られてる訳だよな。
だったらさ……
生 徒 会 こ っ ち に 来 る ん じ ゃ な い か ?
そんな最悪な予想をして、俺は生徒会の奴らを見れなかった。
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